子供の健康ハンドブック

2013年7月アーカイブ

禁煙指導の保険適応

4月から禁煙指導が保険適応になったそうですが、禁煙を希望している人は誰でも対象になるのでしょうか?

喫煙習慣はニコチン依存症であり、病気であるとの認識に基づきニコチン依存症管理料とニコチンパッチ製剤が保険適応になりました。

適応となるのは、直ちに禁煙することを希望し、禁煙治療プロブラムによる治療を受けることを文書で同意した人ですが、問診によりニコチン依存症と診断され、1日の喫煙本数X喫煙年数が200以上という条件が付きます。 初回を含め12週目まで計5回の禁煙指導料とニコチンパッチの料金が保険適応となります。

やや適応範囲が狭く、未成年や若い人が対象にならないことは残念ですが、禁煙指導が保険診療として認められたことは画期的なことといえます。

(平成18年7月12日)

感染性胃腸炎

感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)が大流行しているようですが、詳しく教えて下さい 。

感染性胃腸炎は晩秋から冬にかけて流行しますが、今年は例年に比べ流行の立ち上がりが2週間程早く、県下でも大流行となっています。
この時期の胃腸炎はノロウイルスが原因であり、突然の嘔吐で発症し下痢や発熱を認めます。

通常2~3日で改善し、春先に流行するロタウイルスのように重症化することは稀です。
しかし、感染力は極めて強く保育所などでしばしば集団感染を起こします。
乳幼児例では兄弟や親に次々に感染し、家族中で嘔吐や下痢を認めることも稀ではありません。

吐物や下痢便中に含まれるウイルスが感染源となるため、予防にはこれらの適切な処理と手洗いが重要です。

(平成18年12月13日)

プロダクトRED

プロダクトRED(レッド)という取り組みでアフリカのエイズ救済のための援助が行われているそうですが、どんな内容ですか。

プロダクトRED(レッド)とは、ロックバンドU2のボーカルのボノと国際NGOであるDATAのボビー・シュライバーが発起人となり提唱された民間企業からの寄付の仕組みです。

今年1月スイスで開かれたダボス会議で開催された世界経済フォーラムにおいて提案されました。
賛同した企業は「RED」のロゴ入りの赤い色の商品を特別に企画し、その販売収益の一部を寄付します。
集められた資金はアフリカでのエイズ対策に向けられますが、特に女性と子供に焦点を当てたプログラムに限定して役立てられることになっています。

今後、世界中の企業が続々と赤い製品を発売して貢献するものと期待されています。

(平成18年11月8日)

今年のインフルエンザの流行予測を教えて下さい。

インフルエンザウイルスにはA型とB型があり、A型はソ連型と香港型に分けられますが、どの型のウイルスが流行するかは、過去の流行状況、住民の抗体価の保有状況などを参考に予測が行われ、それをもとにワクチン製造株も決定されます。
しかし、予測が外れることもあり、そのためワクチンを打っていても実際には余り効果がみられない年もあります。

一般にはインフルエンザの流行は1月中旬頃から始まり、A型が先行して、シーズンの終わり頃にB型の小さな流行が見られます。

しかし、一昨年は流行の始まりが遅く、2月に入ってからB型が大流行し、A型は小さな流行に終わりました。
一方、昨シーズンは全国的にはほとんどがA香港型を中心とするA型による中規模の流行でしたが、高知県ではA香港型、Aソ連型、B型の3種類のウイルスの流行が見られるという特異な現象が見られました。
特にB型の流行はほとんど高知県だけで見られ、このウイルスはワクチンに含まれていた株とは異なる山形系統株であったことが明らかにされています。

このようにインフルエンザの流行はその開始時期もウイルスの種類も毎年異なっており、天気予報のような正確な予測は難しいのが現状です。

(平成19年1月1日)

MRワクチン

今年小学生になる子供がいますが、MRワクチンを接種するように連絡が来ました。
麻疹と風疹のワクチンは受けていますが、もう一度必要なのでしょうか?

麻疹と風疹のワクチンはそれぞれ単独で1回ずつ接種されていましたが、昨年からは混合ワクチン(MRワクチン)が導入されました。
接種回数も2回に変更され、1回目は1歳の時に2回目は就学前の1年間に行われるようになりました。
これは1回だけの接種だと徐々に免疫が弱くなり、大きくなってから麻疹に感染する危険性があるためです。

麻疹は昔から「はしかのようなもの」などとされ、誰もがかかる普通の病気のように言われていましたが、実際は発症者の1000人に1人が死亡する重篤な感染症です。

保育園、幼稚園の年長児は3月末までに必ずワクチンを受けることをお勧めします。

(平成19年2月14日)

夜尿症

小学校3年生の男の子ですが、まだ週に4~5回おねしょをします。
大きくなれば治ると聞いて、様子を見ていましたが本当によくなるか不安です。

5~6歳を過ぎても月に数回以上おねしょをすることを夜尿症といい、小学校1年生では10人に1人位の頻度です。
確かに毎年約10%ずつ治ってゆきますが、お子さんのように回数が多い場合は治療の対象になります。
夜尿症は夜間の尿量が多い多尿型、膀胱が小さいため尿をためることができない膀胱型、その両者の性質を持つ混合型の3つのタイプに分けられます。
夜間の水分を控え、起こさず、あせらず、おこらず、という従来の生活指導を行いながら、多尿型には尿を濃縮する抗利尿ホルモンを点鼻し、膀胱型には膀胱機能を安定させる薬を投与することにより多くの場合改善が見られます。

(平成18年9月13日)

子供が通っている小学校でマイコプラズマ肺炎が流行っているとの連絡がありました。どんな肺炎ですか?

咳と発熱が主な症状ですが、特徴的なことは乳幼児には少なく、学童以上の年齢に多いことです。
肺炎球菌などによる細菌性肺炎のように重症化することはありませんが、適切な治療が行われないと頑固な咳が続きます。
以前は4年毎のオリンピック年に流行が見られていましたが、最近はその傾向は薄れてきています。
毎年、季節に関係なく小流行が見られていますが、今年は例年にない患者数が報告されています。
学校などの集団や家族内で感染が見られることも特徴です。
治療薬としてはマクロライド系の抗生物質が有効で、日常よく使われるペニシリン系やセフェム系の抗生物質は効きません。

(平成18年8月9日)

咳込んで吐く

現在1歳半の子供ですが、生後4ヶ月で風邪を引いた時から咳をするとよく吐きます。
今年の春も咳が長引き吐いていました。吐くことは心配ないでしょうか?

乳幼児は大人と比べて咳き込むと吐きやすい傾向があります。
これは咳により腹圧が上がることにより胃の内容物が食道に逆流するためです。乳幼児期は食道と胃のつなぎ目がまだゆるいため、腹圧がかかったり、寝て横になったりするだけで胃内容が食道に逆流することがありますが、年長児になるとこのような現象はずっと少なくなります。
お子さんの場合もこのことが原因で咳き込んだ際に嘔吐しているものと思われます。
ただ、咳が長引く場合は喘息などが無いかどうか、再度かかりつけの先生に確認して下さい。
そのような原因が無ければ、成長するに従い、徐々に吐かなくなるでしょう。

(平成18年6月14日)

保育所入園と感染症

仕事の関係で1歳の子供を4月から保育所に預けていますが、よくかぜを引きます。
体が弱いのでしょうか?

集団保育に入ったばかりの子供はどうしても感染症にかかりやすくなります。 特に乳児期後半から1歳頃はまだ免疫力が弱いため、感染症が流行していなくても、集団生活に入った最初の数ヶ月はよく風邪をひいたり熱を出したります。
決してお子さんが特別に弱いわけではなく仕方がないことといえます。
一部のお子さんは発熱や中耳炎を繰り返すことがあり、せっかく保育所に預けても度々呼び出され、仕事にならないとなげくお母さんもいます。
あまり感染を繰り返す場合は事情が許せば、しばらく自宅で見てあげることもひとつの方法です。

(平成18年5月10日)

経口補液療法

小児の胃腸炎の脱水の治療に有効とされる経口補水療法について教えて下さい。

経口補水療法は1970年代に設備が十分でなかった発展途上国においてコレラの下痢による脱水を治療するために開発され、死亡率を激減させました。
この補液中にはナトリウムとブドウ糖が適当な濃度で入っており、この両者の併用により水分の吸収が促進されることが明らかにされています。
最近では急性胃腸炎による中等症以下の脱水にも経口補水療法が点滴と同等の効果があることが確認されました。
実際にはスプーン一杯程度の少量の経口補水液を頻回に与えます。この経口補液水は市販されており、現在流行中のロタウイルス胃腸炎による脱水の治療にも有効ですので、医師に相談してみて下さい。

(平成18年2月8日)

4月に麻疹と風疹の予防接種の制度が変更になるそうですが、どのようになりますか。

現在1歳から7歳半までのお子さんは麻疹と風疹のワクチンを定期接種として受けられますが、4月からは制度が大きく変わります。
まず、麻疹と風疹の単独ワクチンが麻疹・風疹混合生ワクチンとなり、接種回数も1歳(1期)と小学入学前1年間(2期)の2回になります。
これにより従来の1回接種より長期にわたる免疫が獲得されることが期待されます。 しかし、この変更にともない、麻疹と風疹の定期接種はこの混合生ワクチンのみとなるため、どちらかを受けてない場合や、2歳を過ぎた場合などは公費で受けられなくなることがあります。
分からない点は主治医とよく相談して下さい。

(平成18年2月8日)

予約システム

病気の子供を連れて長時間待つのは親子ともに大変ですが、便利な予約システムはありませんか?

冬の感染症が多い時期は待ち時間が長くなりますが、患者さんを待たせることは医療者にとってもストレスになります。大きな病院では予約制になっているところが増えていますが、最近は開業医用の予約システムも開発されています。
当院では1年前から24時間自動電話予約サービスを導入しています。予約専用番号に電話すると自動音声が流れ、その案内に従って電話機のボタンを押して、希望する時間に予約を入れる方法です。また、インターネットでも予約が可能で、パソコンや携帯電話から予約ができるようになっています。インターネットの場合は画面上で一日の混み具合が分かるため好評です。

しかし、子供の病気はほとんどが急性疾患であり、予約制がなじまないところもあります。
もちろん、具合が悪く緊急性を必要とする場合は予約に関係なく優先的に診察するようにしています。そのため、重症の子供が来た場合は検査や点滴などの処置をしたり、入院が必要な場合は紹介先をあたったりしなければならないため、予約時間通りに診察が進まないこともあります。
しかし、このサービスの導入により受診してみないと混み具合が分からないとう問題は解決され、待ち時間も短くなってきています。

(平成18年1月1日)

RSウイルス(1)

これから流行するといわれているRSウイルス感染について教えて下さい。

これからかぜのシーズンを迎えますが、小児ではインフルエンザとともにRSウイルスは重要な感染症です。RSウイルスは11月頃からインフルエンザが流行する2月頃までのかぜの原因として最も頻度が高いものです。
多くは咳、鼻水、熱などのかぜ症状で終わりますが、生後6ヶ月頃までの乳児がかかると、細気管支炎を起こし、入院が必要になることがあります。
細気管支炎になるとゼーゼーして、呼吸数が早くなり、ミルクが飲めなくなります。
さらに、治った後も、喘息に移行することが多いことも知られています。
また、早産児や心臓病を持つ子供がかかると重症化しやすく、特に注意が必要です。

(平成17年11月8日)

ウイルス感染と喘息

秋に喘息発作が多い理由と予防法について教えて下さい。

秋に喘息発作が多いのは、気温が急に下がることや、夏に繁殖したダニの死骸が多くなることが原因と考えられていました。
しかし、最近はウイルス感染が喘息発作を起こす主な原因であることが明らかにされ、特にライノウイルスが喘息の悪化に関連するウイルスとして注目されています。
ライノウイルスは春と秋に流行し、この時期のかぜ症状を起こす主な原因ウイルスです。
健康な子供はかかっても軽い咳や鼻水ですみますが、喘息児の場合は数日以内に喘息発作が誘発されます。
従って、発作を予防するためには、かぜを引かないようにすることと、薬をきちんと服用して喘息のコントロールを良好に保つことが重要です。

(平成17年10月12日)

初めての熱

生まれて初めての熱は何が原因でいつ頃出ますか?

初めての発熱は親にとっても不安が大きいものです。
一般に生後3ヶ月頃までは発熱することは稀ですが、その後、徐々に発熱するようになり、初めての発熱のピークは7~8ヶ月頃に見られます。
その原因としては突発性発疹が最も多く、その他、風邪、気管支炎、胃腸炎などがみられます。
突発性発疹になると突然39度前後の熱が出て、3~4日続きますが、咳や鼻水などの風邪症状はありません。
解熱後に発疹が出て初めて診断されます。一歳半頃までにほとんどの子供がかかります。
一方で3ヶ月前の発熱は尿路感染症、敗血症、髄膜炎などの重症感染症の可能性があるので詳しい検査が必要です。

(平成17年9月14日)

ムンプス難聴

ムンプス(おたふくかぜ)にかかると難聴になることがあると聞きましたが、詳しく教えて下さい。

ムンプスは耳下腺や顎下腺が腫れて発熱する病気です。
ムンプス難聴はウイルスにより内耳の神経細胞が破壊されて起こり、普通は片方だけ聞こえなくなります。
耳下腺が腫れて4日目から18日以内に発症します。教科書的には難聴になる頻度はムンプス患者の15,000人に1人程度とされていますが、最近の研究では実際にはもっと頻度が高く、数百人から数千人に1人と推定されています。
これは実際にムンプスウイルスに感染しても症状が出ないことが少なくないことに加え、乳幼児では難聴の発見が遅れるためと考えられています。
ムンプス難聴には治療法がないため、ワクチンを接種することが最大の予防法といえます。

(平成17年8月17日)

食中毒

カンピロバクターによる食中毒の特徴と予防法について教えて下さい。

本菌による食中毒はサルモネラ、腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌に次ぐ発生頻度を示しています。
他の細菌による食中毒は夏季に多発しますが、本食中毒は5~6月に多く、真夏はやや減少し、再び9~10月に多くなる傾向を示します。
一般に汚染された鶏肉、鶏卵、牛肉などを食べて発症しますが、実際に感染源を特定することは必ずしも容易ではありません。
症状としては発熱、悪心、嘔吐、腹痛、水様性下痢などが見られ、便に血液や粘液が見られこともあります。
予防には調理の際に充分な加熱処理を行うことが重要です。
また、夏場は鳥刺しやレバ刺しなどの生肉料理は避けたほうがいいでしょう。

(平成17年7月13日)

水痘ワクチン

子供が今年から保育園に入りましたが、水痘(水ぼうそう)をまだやっていません。
ワクチンを受けたほうがいいでしょうか?

水痘になるとかゆみを伴う水疱が全身に出て、その数は300~500個にもなります。
皮膚に細菌の2次感染を起こしたり、稀に肺炎や脳炎を合併したりすることがあります。
また、顔や体に水疱の瘢痕が残ることもあります。
感染力は強力で免疫がない人が患者に接触するとほとんど感染します。
多くの子供は託児所や保育園などで感染しますが、水疱がかさぶたになるまでは感染力があるので、1週間ほど集団生活はできません。
従って、ワクチンによる効果は費用を大きく上回っており、接種することをお勧めします。また、水痘患者と接触した場合、3日以内にワクチンを打てば発症を防ぐこともできます。

(平成17年6月8日)

喘息の治療

3歳の子供が今年になってから月に2回ほど咳き込んでゼーゼーし、喘息と診断されました。長期の治療が必要といわれましたが、どれくらいの期間治療が必要ですか?

喘息はアレルギー反応などにより気道に炎症が起こり、その結果、気管支が狭くなりゼーゼーして苦しくなる病気です。
軽い発作の場合は気管支拡張剤を吸入するだけでよくなりますが、この患者さんのように発作を繰り返す続く場合は、単に気管を拡げるだけの治療だとまたすぐに発作が起こるため、炎症を抑える治療を継続して行うことが重要とされています。
炎症を抑え発作を予防する治療薬としては吸入ステロイド薬やロイコトルエン受容体拮抗薬などが推奨されています。
この患者さんもこうした治療を継続して、少なくても3ヶ月は発作が起こらないように治療を行うことが必要です。

(平成17年5月11日)

溶連菌感染症

溶連菌感染症について教えて下さい。

のどにA群溶連菌とよばれる菌が感染する病気で、のどの痛み、発熱、発疹などが見られ、時に嘔吐することもあります。
のどの痛みはかなり強く、子供たちはよくつばを飲み込むのも痛いと訴えます。
舌はぶつぶつして苺のように見えるため苺舌という名前が付いています。
のどは真っ赤になっており、見慣れた小児科医だと一見して診断が付きますが、今は咽頭拭い液を使った迅速検査ができます。
兄弟や親にも移ることがあります。
抗生物質がよく効きますが、治療が不十分だと後でリュウマチ熱や腎炎を起こすことがあるので、医師の指示に従って10~14日間は抗生物質をきちんと服用することが重要です。

(平成17年4月13日)

朝食の欠食と肥満

朝食を欠食することが子供の発育に与える影響について教えて下さい。

幼児期から朝食をとらない子が増えています。
この子達は小学校低学年までは、摂取エネルギー不足により体重が少なくなりますが、小学校高学年になると逆に肥満児になりやすいことが指摘されています。
朝食をとらない子は就寝時間が遅く夜食の頻度が高いなどの生活習慣も合わせ持つものが多いことがわかっています。
さらにテレビ視聴時間が長い子も多く、運動不足となり肥満になりやすくなります。
つまり、幼児期に朝食をとらないという習慣は、実は他の肥満につながる生活習慣と深い相関があるのです。
従って、成人後の肥満や生活習慣病の予防には幼児期からの対策が重要です。

(平成17年3月10日)

ノロウイルスによる胃腸炎が問題になっていますが、新しいウイルスですか?

去年の暮れから1月にかけてノロウイルスの胃腸炎が大流行し、特に老人施設では死亡例も出て大きな社会的問題になっています。
このウイルスはSARSのように突然現れた新型のウイルスではなく、毎年冬の前半に繰り返される感染性胃腸炎の原因ウイルスとして存在していたものです。
嘔吐や下痢が続くのは1~2日と短く、重症化して入院したりすることはほとんどありません。
ただし、今年見られたように高齢者では脱水や吐しゃ物の誤飲などで重症化することがあるので注意が必要です。
また、感染力が極めて強く多くの例で家族内感染を起こしています。
吐しゃ物や下痢便に大量のウイルスが混ざっていますので、これらを処理した後は徹底して手洗をして下さい。

(平成17年2月9日)

長期間テレビやビデオを見ることは、子どもの発達に悪影響があると聞きましたが、どんな影響がありますか?

テレビ放送が開始されて50年。
さらにビデオ、テレビゲーム、携帯用ゲーム、インターネット、携帯電話なども普及し、子どもたちもこれらメディアにさらされる機会が飛躍的に増加しています。
特に子どもが長時間にわたりテレビやビデオを見ることが心身の発達に悪影響を与える可能性が指摘されています。
最近の研究では1才6ヶ月時点で毎日2時間以上テレビを見ている子どもは、それ以下の子どもに比べて有意に言葉の発達が遅れることが明らかにされました。
子どもは身近な人と関わりあい、遊びなどの実体験を重ねることにより人間関係を築き、心と体を成長させます。長時間にわたるテレビからの一方的な刺激はこの触れ合いを阻害し、結果的に子どもの発達を遅らせる可能性があります。
そこで日本小児科医会は以下のような提言を行っています。

(1)2歳まではテレビやビデオ視聴を控える
(2)授乳中、食事中はテレビやビデオを見ない
(3)すべてのメディアに接する時間を1日2時間までとし、テレビゲームは1日30分までとする
(4)子ども部屋にはテレビ、ビデオ、パソコンは置かない
(5)親と子でメディアを上手に利用するルールをつくる。

是非一度ご家庭でこの問題を話し合ってみて下さい。

(平成17年1月1日)

RSウイルス(2)

未熟児で生まれた4ヶ月の子どもがいます。
RSウイルスによる感染に注意が必要との説明を受けましたが、詳しいことを教えてください。

RSウイルス感染は毎年11月から3月にかけて流行しますが、特に12月が感染のピークとなります。
最初は鼻水、咳などの普通の風邪のような症状で始まりますが、乳児の場合は急速に症状が進行して、細気管支炎や肺炎になることがあります。
乳児が細気管支炎になると喘息のようにゼーゼーして呼吸が苦しくなり、入院治療が必要になります。
中でも未熟児や先天性心疾患を持つ乳幼児はRSウイルスに感染すると重症化しやすく、特に注意が必要です。そのためハイリスクの未熟児にはRSウイルスの流行期間中は発症を予防するために、このウイルスに対する抗体注射が行われています。

(平成16年11月10日)

熱性痙攣と予防接種

10ヶ月の乳児が突発性発疹にかかり熱性けいれんを起こしました。
今後の予防接種はどのように受けたらいいでしょうか?

従来は熱性けいれんを起こした場合1年間は予防接種を控えるよう指導されていました。
これは予防接種の副反応で発熱することがあり、けいれんを誘発することが懸念されたためです。
しかし、一方で熱性けいれんを起こす可能性のある子供ほど、予防接種を行い病気を防ぐことにより発熱の機会を減らすことも重要です。
そこで、この問題を解決するために厚生労働省の研究班が作られ、検討の結果、熱性けいれんを起こしても、2~3ヶ月経過観察すれば、接種は可能との結論が出されました。
ただし、接種の際は医師から、予防接種の有用性と副反応を十分説明してもらい納得の上で受けるようにして下さい。

(平成16年10月6日)

身長曲線

小学校1年生の子供がクラスの中で一番背が低いようですが、検査を受けたほうがいいでしょうか。

子供の身長は両親の身長によりある程度決まってきますが、病気で背が伸びないかどうかは成長曲線を描くとある程度判ります。
成長曲線は母子手帳の中にもありますが、年齢とともに滑らかな線のグラフが5本あります。
真ん中の太い線が平均的な身長を表し、この線をはさんで上下2本ずつ細い線があり標準的な成長範囲を示しています。
今までの身長をこの成長曲線上にプロットしてみて下さい。身長が低くてもこの曲線に沿っていれば問題はありません。
しかし、一番下の線から外れたり、途中まで曲線上に沿っていたものが下の方に外れてしまった場合は病気の可能性があるので、小児科医に相談してみて下さい。

(平成16年)

小学3年生の子供がマイコプラズマ肺炎と診断されました。他の肺炎とはどんな違いがありますか?

マイコプラズマ肺炎は幼児や学童に多い肺炎です。発熱に続き激しい咳を認めますが、患者は比較的元気なことが多く、また通常の上気道炎の際によく投与されるペニシリン系やセフェム系の抗生物質が効かないため診断が遅れることも稀ではありません。
その診断は血液検査と胸部レントゲン写真で特徴的な肺炎像を認めることである程度可能ですが、さらに、家族内や学校での流行状況も参考になります。
抗菌薬としてはマクロライド系やミノサイクリン使われますが、最近登場したアジスロマイシンが特によく効きます。
以前はオリンピックの開催年に流行するといわれていましたが、最近はその傾向は、はっきりしないようです。

(平成16年9月8日)

赤ちゃん会

先日の赤ちゃん会に参加しましたが、この会の歴史について教えて下さい。

赤ちゃん会は高知新聞の主催で昭和4年に始まり、今年で74年の歴史を数えます。
会の運営に長年にわたりかかわってこられた前高知県小児科医会会長浜田義文先生は、ご自身が第1回大会の参加者だったそうです。
今年も約2,000人の参加がありましたが、これは県下で生まれる赤ちゃんの3人に1人に相当します。
会場にはご両親をはじめおじいちゃんやおばあちゃんも加わって、元気な赤ちゃんの泣き声が一日中響きわたり、大変な熱気に包まれます。
子や孫の健康と幸せを願う思いが伝わってきます。
少子化の時代に一度にこれだけの元気な赤ん坊に出会える機会はほとんどなく、小児科医としても心地よい疲労感に包まれる1日でした。

(平成16年5月12日)

2人子供を持つ父親ですがなかなか禁煙できません。
親の喫煙が子供に及ぼす影響について教えて下さい。

親が吸ったタバコの煙を吸いこむいわゆる受動喫煙は子供にさまざまな悪影響を与えます。
例えば親の喫煙は乳児突然死症候群の最大のリスクファクターとされ、子供の喘息や呼吸器疾患、中耳炎の増悪因子となり、知能の発達にも悪影響を与るとされています。
また、虫歯が増え、身長の伸びも悪くなり、さらに成人後の発ガン率も高くなることも分かってきました。
この機会に禁煙に踏み切ってみませんか。県下にもニコチンパッチなどを用いた様々な専門的指導をしてくれる禁煙外来がいくつかできています。
さらに最近はインターネットによる禁煙支援などもあり、以前に比べて禁煙はずっと容易になっています。

(平成16年4月14日)

ロタウイルス胃腸炎

最近ロタウイルスによる胃腸炎が流行しているようですが、どんな病気か教えて下さい。

昨年12月頃より例年同様に感染性胃腸炎の流行が続いています。
その原因のほとんどはノロウイルスによるものでしたが最近は減少してきており、代わって2月下旬頃からロタウイルスによる胃腸炎が増えてきています。
症状は嘔吐で始まり下痢が数日間続きますが、白っぽい下痢便になることが特徴です。
38度以上の発熱を伴うことも多く、ノロウイルスによる胃腸炎より重症化しやすいため、脱水で入院を必要とすることも稀ではありません。
糞便中に大量のウイルスが含まれており、これが口に入り感染します。
そのため家族内や保育所などで感染が拡がりやすいので、より一層の手洗いを心がけて下さい。

(平成16年3月10日)

鉄欠乏性貧血

陸上部に入っている中学生の娘の顔色が悪いため最近病院に連れて行ったところ、鉄欠乏性貧血と診断されました。どうして鉄が不足するのですか?

女子中学生は思春期を迎え急速に体が成長するため鉄分が不足しやすい上に生理による出血も加わり鉄欠乏になりすいといえます。
また、激しいスポーツをやっている人も貧血になりやすいことが知られています。
おそらく娘さんはこのような条件が重なって鉄欠乏性貧血になったものと思われます。
貧血は徐々に進行してゆくため、かなり進行してから診断されることも稀ではありません。
貧血の治療には鉄剤を服用しますが、消化管の出血などがなければ治療によく反応し、1~2ヶ月でよくなります。
しかし、その後も体に十分鉄を貯えるためにさらに2ヶ月位服薬を続けることが必要です。

(平成16年2月11日)

インフルエンザ脳症

小さい子供がいますので、インフルエンザと共にインフルエンザ脳症が心配です。
症状や対処に仕方について教えて下さい。

インフルエンザの感染は子供から老人まで見られますが、この脳症が起こるのはほとんどが5歳以下の乳幼児です。
毎年約100~200人の子供が亡くなっており、その重大性から厚生労働省の研究班が作られ、ここ数年その病態や治療法につき研究が進められています。
発熱から痙攣までの時間が短いことが特徴で、多くの例で発熱したその日か、遅くとも翌日には発症していることです。
さらに特徴的なことは痙攣や意識障害をきたす前に突然恐怖感にかられたり、見えないものが見えると言ったりする異常な行動や言動をとることが多いことも明らかになりました。
その病態はウイルスが直接の脳に障害を与えるのではなく、免疫反応により急速大量に産生されたサイトカインと呼ばれる化学物質が脳に障害を起こすものと考えられるようになり、早期にこのサイトカインを抑制する治療を行うことで死亡は半減してきています。
また、脳症の発症と特定の解熱剤との因果関係も指摘されており、インフルエンザが疑われる場合はアセトアミノフェン以外の解熱剤は使わないことが重要です。 インフルエンザワクチンで脳症の発症を予防できるかどうかまだ明らかにされていませんが、発症者のほとんどが未接種者であることも事実です。

(平成16年1月1日)

保育所に行っている2歳の子供が扁桃炎で6日間も熱が続きました。
結局アデノウイルス感染症と言われましたが、そんなに熱が下がらないものでしょうか?

年間を通して見られます。
今年の秋から冬にかけてはこのアデノウイルスによる扁桃炎の小流行が続いています。
普通のウイルスによるかぜと違うのは39度から40度に達する高熱が5日前後続くことです。
血液検査では白血球が増加し、CRPなどの炎症反応のマーカーも上昇するため、細菌感染と鑑別が難しいパターンを示しますが、咽頭拭い液を用いたキット検査により外来で診断が可能な場合もあります。
診断が確定すればウイルス感染なので抗生物質は効かないので、対症療法を行いながら経過を観察することになります。

(平成15年12月10日)

母親の片頭痛

3人の子供がいる32歳の主婦です。以前よりあった片頭痛が最近ひどく、育児に支障をきたしています。鎮痛薬があまり効きません。何かいい薬はありますか?

片頭痛は20才代から30才代の女性に多いため、育児中の母親の日常生活に支障をきたすことがあり、私自身も相談を受けることがあります。
片頭痛はズキンズキンと拍動性に痛むのが特徴で、数時間から長いときは3日間も続くことがあります。動くと痛みが強くなり、吐き気や嘔吐を伴うことが少なくありません。
片頭痛の治療には今まで主に鎮痛薬が使われてきましたが、最近トリプタンとよばれる特効薬が発売されました。
育児に忙しいお母さんは小児科以外に専門病院に行く時間がなく、市販の鎮痛薬で我慢している方が多いようです。
とりあえず、小児科の先生に相談してみたらいかがでしょうか。

(平成15年11月12日)

去年うちの子はインフルエンザの予防接種を受けましたが、罹ってしまいました。予防接種は本当に有効なのでしょうか?

インフルエンザの予防接種の効果については国内外の研究により、その有効率は約70%とされています。
これは予防接種を受けた人は受けなかった人と比べてインフルエンザに罹る確率が70%低くなるという意味です。
また、特に重症化しやすい高齢者の場合はその死亡率を80%低下させることも明らかにされています。
予防接種を受けても100%は予防できないため、お子さんのように罹ってしまうこともありますが、一定の予防効果や重症化を防止する効果は確実にあります。
さらに、今年は初期症状がインフルエンザと似ているSARSの流行も危惧されるため、例年に増して予防接種が推奨されています。

(平成15年10月14日)

白血球とCRP検査

外来で行われる血液検査の白血球とCRP検査の意義について教え下さい。

乳幼児の発熱の多くはかぜなどのウイルス感染によるもので、抗生物質は効きませんが、細菌感染には抗生物質が有効です。
細菌感染の場合は発熱の直後より白血球が増加し少し遅れて急性炎症蛋白であるCRPも上昇してきます。
逆にウイルス感染の場合、白血球はむしろ減少しCRPもほとんど上昇しません。
乳幼児は診察所見だけでは感染部位や原因が判らないことがあり、この2つの検査は外来で簡単にできて診断と治療に役に立ちます。
検査の結果ウイルス感染と考えられる時は熱が続いていても解熱剤などを投与して対応すればよく、逆に細菌感染の場合は抗生物質の投与が必要になります。

(平成15年8月10日)

りんご病

1年生の子供の両頬が真っ赤になり、りんご病と診断されました。
どんなことに気をつければよいでしょうか?

りんご病はヒトパルボウイルスによる感染症で正式には伝染性紅斑といいます。
主に幼児や学童が感染して顔面と四肢に紅斑ができるのが特徴です。頬がりんごのように赤くなるためこの名前がついています。
小児では紅斑以外の症状は乏しく、診断された時は既に感染性はないので、登園や登校を控える必要はありません。
また、こどもから親に感染することもあり、大人は関節痛を訴えることが多く、紅斑がはっきりしない場合は誤ってリュウマチと診断されることもあります。
また、妊婦が感染すると胎児水腫という異常をきたすことがあります。
子供がりんご病と診断された場合は特にこの2点に注意して下さい。

(平成15年7月9日)

風疹の予防接種

風疹の予防接種がでも公費で受けられるそうですが、詳しく教えて下さい。

風疹は比較的軽症の感染症ですが、妊娠早期に感染すると生まれてくる赤ちゃんが白内障、心奇形、難聴などの症状を呈する先天性風疹症候群になることがあります。
以前は将来妊娠の可能性のある中学生女子を対象に予防接種が行われていましたが、平成6年からは1歳以降の幼児に接種するようになりました。
この変更に伴い、経過措置として昭和54年4月から62年10月生まれの人も今年9月までは公費で受けられるようになっています。
現在この年齢層の接種率が低く、将来、先天性風疹症候群の患者が増加することが危惧されています。
この年齢で予防接種を受けてない人は9月までに是非受けて下さい。

(平成15年6月11日)

下肢痛

4歳の子供が夜になると足を痛がるので整形外科を受診したところ、成長痛といわれました。
心配ないでしょうか?

こどもが足の痛みを訴えることは少なくありませんが、ほとんどは成長痛と呼ばれるもので、病的なものではなく自然によくなります。
成長痛は就学前から小学校低学年の子供に見られ、夜寝ている時に痛みを訴えることが特徴です。
原因は成長によるものより、運動のし過ぎや小さな異常によるものと考えられています。
また、単にあまえていることもあるので、精神的な問題がないかどうかも考えてみてあげて下さい。
ただし、下肢痛を訴える子供の中には稀に白血病などの重大な病気が隠れていることがあるので注意が必要です。
足の痛みが続く場合は必ず小児科医にも診てもらって下さい。

(平成15年5月14日)

尿路感染症

発熱を繰り返していた1才の子供が結局尿路感染症と診断されました。
今後の注意点について教えて下さい。

ご質問のケースは発熱を繰り返していたとのことなので腎盂腎炎と呼ばれる上部尿路感染症と考えられます。
乳幼児の腎盂腎炎はその約半数に膀胱に溜まった尿が尿管に逆流する膀胱尿管逆流現象とよばれる尿路奇形を伴うので、このような異常の有無を確認しておくことが重要です。
尿路奇形を伴う場合は腎盂腎炎を繰り返すことがあり、適切な治療が行われないと将来腎機能の低下をきたす可能性があります。
従って、今後は咳や鼻水などの症状がなく発熱した場合には、必ず尿検査をして尿路感染症がないかどうか確認しておく必要があります。
また、逆流があってその程度が強い場合は手術が必要になる場合もあります。

(平成15年4月9日)

保育園

子どもが4月から保育園に入りますが、入園前に何か気をつけておくことはありますか?

初めて集団生活に入ると子どもはかぜをひいたり伝染病にかかりやすくなります。
そのためにも予防接種は必ず受けておきましょう。
すべての乳幼児が接種することを勧められている定期予防接種はBCG、ポリオ、3種混合(ジフテリア、破傷風、百日咳)、麻疹(はしか)、風疹、日本脳炎です。
これらの予防接種を受けているか入園前に母子手帳を見て確認して下さい。
特に麻疹は重症化しやすく合併症で死亡することもある恐ろしい伝染病なので必ず予防接種を必ず受けておいて下さい。
水疱瘡やおたふくかぜは任意接種になっていますが、まだかかっていないお子さんは受けておくことをお勧めします。

(平成15年3月12日)

インフルエンザ脳症の発症に解熱剤が関係していると聞きましたが、どのような解熱剤を使用したらようのでしょうか?

今年はインフルエンザが大流行しています。
インフルエンザにかかると高熱が出るため解熱剤がよく使われますが、一部の解熱剤はその使用により脳症を発症するリスクが高くなるとされており、これらの解熱剤は使用しないように勧告されています。
最も安全なのはアセトアミノフェンと呼ばれる解熱剤で、現在小児科医はこの解熱剤以外はほとんど使いません。
インフルエンザは簡単な検査で診断できるようになりましたが、発症早期の場合はこの検査でも陽性に出ないことがあるため、インフルエンザが流行しているこの時期にはアセトアミノフェン以外の解熱剤を使用しないで下さい。

(平成15年2月12日)

成育医療

最近、成育医療という言葉を耳にしましたが、どういう医療なのか教えて下さい?

成育医療とは従来の小児医療の枠を超えた、人のライフサイクルに沿った継続的で総合的な新しい医療概念です。
人は生を受けた後、乳幼児期、学童期、思春期を経て成人になるわけですが、それぞれの時期に特有の医療的問題があり、またそれにともなって心理社会的問題も生じてきます。
今までの小児医療は小児期に発生した病気を小児科医が治すという比較的単純な考え方で行われてきました。
大学病院の小児科や小児病院で難病の治療と研究に取り組んできた結果、以前は助からなかった子どもたちの多くが治るようになりました。
例えば小児白血病もその約70%は治るようになり、多くの元患者たちが病気を克服して成人しています。
しかし、一部の患者は治療による後遺症に悩み、進学や就職の時差別されこともあります。
また、結婚しても健康な子どもを持つことができるかという不安もあります。
このような複雑な問題を抱えた患者には小児期から成人期までの継続的な医療が必要であり、体の問題のみならず心の問題への対応も欠かせません。
そのためには小児科医だけでなく内科、産婦人科、精神科などあらゆる診療科の医師が協力して、真に患者の立場に立った医療を提供してゆくことが必要です。
このような医療が成育医療であり、昨年4月には日本で初めての成育医療センターが東京にオープンしました。

(平成15年1月1日)

未成年者の喫煙

未成年者の喫煙が増えているそうですが本当ですか?

ごく普通の中学校でも生徒の3~5%が常習喫煙者とされ、高校生では過半数が喫煙者という学校もあるほどです。
現在、喫煙はニコチンによる薬物中毒との考えられていますが、子供は成人と比べて早期にニコチン中毒になりやすいことが判っています。
興味半分で1本すってみただけのつもりが簡単に止められなくなってしまうのです。
また、吸い始める時期が早いほど将来、心筋梗塞や肺がんなどで死亡する確率も高くなることも明らかになっています。
子どもにタバコを吸わせないためには、周りの大人が喫煙している姿を見せないことが重要です。
最近は敷地内を前面禁煙にする学校も少しづつ増えてきています。
今は禁煙を希望する人には、ニコチンパッチをはじめ様々な禁煙を支援する方法が発達してきており、以前より禁煙の成功率は高くなってきています。

(平成14年12月11日)

嘔吐下痢症

冬に流行する嘔吐下痢症について教えて下さい。

11月になって気温が下がってくると、嘔吐や下痢をする乳幼児が急に多くなります。
これはウイルスによる胃腸炎ですが、その流行は冬から春先まで続きます。 原因の多くがロタウイルスによるもので、典型例では突然の嘔吐と発熱で発症します。
嘔吐は一般に半日から1日でおさまり、引き続き下痢が始まり、1週間ほど続きます。 ロタウイルスによる胃腸炎では白っぽい下痢便を認めることが特徴的で、乳児白色便性下痢症ともいわれていました。
乳幼児は脱水になりやすいので、嘔吐がおさまってきたら、乳幼児用のイオン飲料などを用いて少しずつ、こまめに水分を与えます。
吐き気がおさまれば、消化のよい食物を徐々に始めるようにします。
水分がとれずに脱水になると、ぐったりして舌や唇が乾き、尿量も少なくなってきますので、すぐに医療機関を受診して下さい。

(平成14年11月13日)

熱性けいれん

熱性けいれんの対処法とその後遺症について教えて下さい。

熱性けいれんとは38度以上の発熱に伴うけいれんのことで、髄膜炎や脳炎などによるけいれんを除外したものをいいます。
生後6ヶ月頃から5歳くらいにかけてみられ、多くはかぜによる発熱にともなって起こります。
遺伝傾向があり両親のどちらかに熱性けいれんの経験があると、起こしやすいことが分かっています。
初めてけいれんを見たときは本当に驚きますが、ほとんどが分以内に自然におさまります。
また、舌を噛んだりすることはないので口に物をつめこんだりする必要はありません。 約半数の子供に再発がみられ、その約70%が1年以内に起こります。
再発した場合は、その後のけいれんを予防するために37.5度以上になったらけいれん止めの座薬を入れることにより予防することができます。
一般に後遺症を残すことはなく、小学校に入る前に自然に治ります。

(平成14年9月11日)

とびひ

とびひについて教えて下さい

本格的な夏の到来でとびひの患者さんが増えています。
とびひは正式には伝染性膿痂診と呼ばれ、黄色ブドウ球菌や連鎖球菌という細菌で起こる皮膚の感染症です。
顔や手足にかゆみをともなう水泡ができて、それが次々に破れて、他の場所や他の子どもに文字通り「飛び火」して広がってゆくことからそう呼ばれています。
とびひは皮膚の抵抗力が弱い乳幼児に多く見られ、虫さされ、あせも、かき傷や湿疹などに細菌が感染して起こります。
保育園や幼稚園などに通う場合は患部をガーゼで覆い、他の子どもが直接触れないようにしましょう。とびひには抗生物質が効きます。
患部を消毒した後、抗生物質を塗ったガーゼで覆い、同時に抗生物質も服用します。 お風呂は入っても構いませが、完全に治るまではシャワーで洗うくらいで、湯船にはつからないほうがいいでしょう。

(平成14年8月14日)

なつかぜ

夏かぜについて教えて下さい。

夏かぜとしては手足口病、プール熱、ヘルパンギーナなどがあります。 手足口病はコクサッキーウイルスやエンテロウイルスが原因で、あまり高い熱は出ませんが、手の平、足の甲、口の中に発疹ができます。
プール熱は咽頭結膜熱ともいわれ、アデノウイルスによる夏かぜで、殺菌が不十分なプールの水から感染します。
発熱、咽頭炎、結膜炎が主な症状で、高熱が4日前後続きます。
ヘルパンギーナはエンテロウイルスが原因で、突然発熱し、のどの奥に特徴的な水泡ができ、痛みを伴います。
いずれも対症療法を行いますが、どのや口の中の痛みで飲食ができなくなることがあるので、こまめに水分を与えて脱水にならないよう注意して下さい。
また、無菌性髄膜炎も流行していますので、頭痛と嘔吐を伴う発熱がみられる場合は早めに医療機関を受診して下さい。

(平成14年7月11日)

ブックスタート

ブックスタート事業が始まったと聞きましたが、具体的な内容を教えて下さい。

ブックスタートとは1992年に英国のバーミンガム地方で始まった運動で、赤ちゃんの生まれた家庭においてできるだけ早くから絵本を読み聞かせる習慣をつける運動です。
日本でも昨年から全国各地の市町村で始まっていますが、高知県では今年度より「土佐の教育改革」の重要施策のひとつとして、全国で初めて県下全体で行うことになりました。
赤ちゃんの言葉と心を育むためには、抱っこされた温かさの中で優しく語りかけてもらうことが大切だといわれています。
肌のぬくもりを感じながら言葉と心を通わせるかけがえのないひと時を絵本を介して持つことを応援する運動といえます。
実際には乳幼児健診の会場でスタッフが絵本の入ったブックスタートパックをわたし、同時に読み聞かせ方のアドバイスも行います。
この機会に絵本の読み聞かせを始めてみませんか。

(平成14年6月)

不慮の事故

1歳になる子供がいます。不慮の事故を起こさないためにはどのようなことに気をつけたらいいでしょう。

0歳を除いた小児の死因の第一位は不慮の事故です。従って、事故を防止することは小児の重要な健康問題といえます。
その原因としては交通事故が一番多く、溺死、窒息、火傷などが続きます。
溺死の80%は自宅の浴槽で起こっています。
浴槽の縁と洗い場の高さ50cm未満の場合は危険性が高く、残し湯をしないこと、浴室に鍵をかけて乳幼児が入れないようにしておくことが大切です。

また、気管に物を詰らせる事故としてはピーナッツなどの豆類が最も多く、2歳までの子供には乾いた豆類を食べさせないことが大切です。
乳幼児の事故を防止するため家庭内の環境や生活習慣をチェックする20項目からなる質問表ができています。
一度かかりつけの先生に相談して、皆さんも家庭内の環境をチェックしてみて下さい。

子供の事故を防ぐのは周りの大人たちの責任です。

(平成14年5月8日)

集団保育と病気

今年から子供を保育園に預けることになりましたが、集団保育での病気の感染が心配です。

幼稚園や保育園も新学期を迎える4月から6月にかけては、インフルエンザやかぜが流行る冬と並んで、熱を出したり、中耳炎になる子が多く見られます。
また、高知県では共働きの夫婦が多いため、1才前から保育所に預けられる子供も少なくありません。
しかし、この時期には母親からもらった免疫グロブリンという感染に対する抵抗力が底をつくため、細菌やウイルスに感染しやすくなります。

抵抗力の弱い乳幼児の集団では、お互いが様々な感染症をキャッチボールし合い、結果的にしょっちゅうかぜを引いたり、熱を出したりすることになります。
しかし、そうした子供たちも3歳頃になると、抵抗力がついてあまりかぜをひかなくなります。
集団保育に入った最初の半年は子供の体調に特に注意が必要です。

また、はしかの予防接種は必ず済ませておいて下さい。

(平成14年4月10日)

小児の救急医療体制

休日や夜間に子供が病気になった時の救急医療体制について。

休日や夜間に子供が病気になった時は本当に不安なものです。
親の育児不安に加えて小児科医が不足しているため、小児救急の問題は全国的にも社会問題化しています。

高知市でも以前は十分な体制がありませんでしたが、小児科医が中心となり行政と検討を重ねた結果、平成11年4月に新しい救急システムができました。
高知市急患センターでは休日の午前9時から午後9時まで、平日の夜8時から11時まで小児の救急診療に当たり、更に深夜帯は6つの基幹病院の小児科が交代で救急診療を行っています。

これにより県下の小児人口の約7割を占める中央医療圏では全国のモデルとなるような年中無休の小児救急体制が確立されました。

(平成14年4月10日)

予防接種の広域化

子供の定期予防接種が住んでいる地域以外でも受けられると聞きましたが、本当ですか。 予防接種の広域化について教えて下さい

予防接種は平成6年の予防接種法の改正以来、それまで集団で行われていたものが、かかりつけ医を中心とした個別接種へと変更されました。
現在、公費で行われている定期予防接種は市町村単位で実施されており、基本的には居住している市町村の医療機関で受けることになっています。

ところが、実際には住んでいる所に小児科医がいなかったり、かかりつけ医が近隣の市にいたりして、不便を感じていた保護者も少なくありませんでした。
このことが予防接種の接種率の向上の妨げにもなっていました。
そこで高知県では今年4月から、定期予防接種を居住地以外の医療機関でも受けられるように予防接種の「広域化」を実施することになりました。
これは全国でも2番目に取り入れられる画期的な医療福祉政策であり、これにより保護者の負担軽減と接種率の向上が期待されます。

(平成14年3月)

麻疹

もうすぐ1歳になる子どもがいます。麻疹(はしか)について教えて下さい。

麻疹は春から夏にかけて流行する極めて伝染力が強い感染症で、肺炎や脳炎などを合併すると死亡することもある恐ろしい病気です。
最近各地で流行が繰り返され、高知県でも昨年は約2,500人の患者が発生しました。

現在1歳から公費で予防接種が受けられますが、その接種率は約80%に留まっており、麻疹を無くするために必要なレベルとされる95%の接種率には遠く及びません。 特に高知県は共働きの夫婦が多く、1歳前に保育所に預けられる子どもも少なくないため、感染のリスクは高いといえます。
そのため私たち小児科医は1歳前でも公費で接種ができるよう行政に働きかけています。
また、今年4月からは予防接種が受けやすいように、居住地以外でも親が希望する医療機関で接種が出来るようになります。

1歳の誕生日を迎えたら、なるべく早く麻疹の予防接種を受けるようにしましょう。

(平成14年2月)

小児がんキャンプ

小児がんの子供たちのためのサマー・キャンプがあると聞きました。 どのようなものか教えて下さい。

病気を克服するためには、同じ病気と闘っている仲間との交流がとても励みになります。
特に難病や稀な病気の場合は仲間の存在が大きな支えになります。私たちは5年前に小児がんと闘っている子供たちを支援するためにサマーキャンプを立ち上げました。 今や小児がんはその70%が治るようになりましたが、長期にわたる入院生活が必要で、子供たちはとても辛い思いをしています。
このキャンプはそんな子供たちと自然の中で一緒に過ごし、少しでも元気になってもらおうという趣旨で始められました。

最初の2年間は三浦海岸で、その後の2年は清里でキャンプをしました。 毎年全国から約40名の子供たちが参加し、約60名のボランテイアの人たちと3日間を過ごします。
2年目にこのキャンプはスマート・ムン・ストーン・キャンプと命名されました。キャンプの発起人となった細谷亮太(聖路加国際病院)、月本一郎(東邦大学)、石本浩市(あけぼの小児クリニック)の3人の小児科医の名前から、それぞれ細(スマート)、月(ムーン)、石(ストーン)を取ったもので、ボランテアの人たちが名付け親です。

参加している子供たちは全員告知を受けており、自分達の病気のことをよく知っています。
従って、このキャンプでは普段学校ではなかなか話せない事もかくすことなく自由に話し合うことができます。
短いキャンプですが子供たちはすっかり仲良くなり、深い絆で結ばれる様子を私たちは見てきました。
今年のキャンプも7月に清里(山梨県)で行う予定です。

参加希望の方は「あけぼの小児クリニック」までご連絡ください。

(平成14年1月)

この時期になるといつも気になりますが、新しくなったインフルエンザ対策を教えて下さい。

インフルエンザは普通の風邪とはちがい、突然の高熱で発症し、筋肉痛や関節痛などの全身症状が強いのが特徴です。
乳幼児では脳炎や脳症を起こしたり、老人では肺炎を合併したりすることもある怖い病気です。

最近、予防接種が発症予防や特に重症化防止に有効であることが確認され、今年から65歳以上の方は公費負担となりました。

さらに今まではインフルエンザに罹っても、対症的に治療するしかありませんでしたが、画期的な抗インフルエンザ薬が開発され、発症から48時間以内にこの薬を服用すると1~2日で解熱効果が見られます。

インフルエンザを疑ったら早めにかかり付けの先生に相談して下さい。

(平成13年12月)