プレスリリース

日章公民館ニュース(平成16~18年掲載記事)より
お陰様で開院して5年が経ちました

5年間を振り返って
早いもので今年の7月で開院以来5年が経ちました。
当クリニックを訪れた初診患者さんは間もなく9,000人に達します。開業した時に考えたことは、
  1. とにかく郷里の人たちの役に立ちたい
  2. 自分が治療した小児がんの子どもたちの成長を見守るために順天堂大学での長期フォローアップ外来を続けたい
  3. 開業する日を長い間待ってくれた母に親孝行したい
という、3つのことでした。
一つ目は皆さんに評価して頂くとして、2つ目は5年間継続することができました。
この外来はわが国で初めての試みであったため、今では全国から注目されるようになりました。
3つ目の目標は残念ながら果たす間もなく、母はその年の11月に逝ってしまいました。人生なかなかうまくいかないものですね。
小児科医の役割とは
今回はあらためて小児科医について私の考えを述べてみたいと思います。
小児科医は子供の病気を治す医者ですが、同時に健診や予防接種を行い、子供の健康を守るという重要な役割も持っています。

子供の問題は親や家族の問題と密接に関係しており、さらに子供たちが生活している地域とも関わりがあります。 子供を診察する際は単に子供を診るのではなく、その家族や地域のことも考えながら診るという姿勢が必要だと思っています。

ここ数年、小児科医不足が社会問題となっていますが、少子化なのに何故小児科医が足りないのでしょうか?
実際に生活は豊かになり衛生状態も改善され、昔のように感染症などの急性疾患で子供が亡くなることはほとんど無くなりました。
その一方で、育児不安を抱える親が増え、子供の心の問題も深刻化しています。
また、成人になって出てくる様々な心身の問題の遠因は小児期にあることも少なくないことが分かってきました。
小児科医が役に立ちそうな分野がどんどん広がってきています。小児科医自身も視野広げて、多方面から子供とその家族を支援したいと考えています。

過去20~30年間、医学は高度に専門化され各臓器別に専門医が育成されてきました。
その結果、病気の治療は進歩しましたが、一方で自分が専門とする病気しか分からないという医師も少なくないのが現実です。 しかし、病む人の問題は生物学的な問題だけではありません。その人の存在全体を診る視点が欠かせません。
小児医療も専門化が進んでいますが、それでも小児科医は子どもの全身を診るという視点を常に持っています。
そして何より子供の成長を長い時間軸で見守るという特別な役割を持っています。これこそ小児科医の醍醐味なのです。
親の健康も守りたい
子供が健やかに育つためには親にも心身ともに健康であって欲しいと願っています。
育児や家事に忙しく、体調が悪くても自分のために医療機関に行くことのできない母親の健康状態に気を配るのも小児科医の仕事と考えています。
実際に子供を連れてきた母親が抱えている重大な病気を発見したことも少なくありません。
その経験を昨年「小児科医が見つける母親の病気」として学会発表したところ、予想を上回る反響を得ました。

また、仕事に忙しい父親の生活習慣病も気になります。特に親の喫煙問題は受動喫煙から子供を守るという点からも小児科医が取り組むべき重要なテーマと考えています。
喫煙に対する社会の目は年々厳しくなってきており、タバコの価格もまた値上がりしました。
今年6月、国は喫煙習慣を「ニコチン依存症」として治療すべき病気と認定し、ニコチンパッチを使った禁煙指導を「ニコチン依存症管理料」として保険適応にしました。

医療機関が保険診療で禁煙指導を行うためにはいくつかの基準を満たさなければなりません。
その一つが診療所内だけでなく駐車場も含めた敷地内を禁煙にすることです。
当クリニックも施設基準を満たして、今月から保険診療ができる施設として認可されました。
タバコを止めたいと思っている方は是非ご相談下さい。
(平成18年8月 日章公民館ニュース)