プレスリリース

看護婦さんをもっと大切に

宮崎から結婚式の案内状が届いた。三年前まで小児科病棟で働いていた看護婦さんからであった。

大学病院で働いている看護婦さんの多くは二十歳代前半の、やさしく意欲にあふれた女性たちである。
小児病棟では、仕事が終わった後も、子供たちの遊び相手になったり、親の話相手になっている姿をよく見かける。

その彼女たちが休みの日には、寮でひたすら寝ているという話をよく聞く。疲れているのである。
彼女たちは日勤、夜勤、深夜と三交代の勤務をこなしている。深夜とは午前零時から翌朝までの勤務であるが、この仕事が二日から三日ごとに回ってくる。
不規則な生活ときつい労働に、さしもの若い体力にも限界を感じ、平均三年ぐらいで職場を去ってゆく。

彼女たちは、できるだけ長く患者さんのそばにいて世話をし、話相手になってあげたいと願っている。しかし、皮肉にも、最近の医療の進歩は、彼女たちをベッドサイドから遠ざける方向にある。
患者さんの周りには、たくさんの機械やモニターが置かれ、時には何本ものチューブが入れられる。
その管理も仕事のうちである。

結果的に本来の願いが遂げられず、フラストレーションがたまり、肉体ばかりか、精神的にも疲れてしまう。
看護婦不足が叫ばれて久しく、「夜勤を減らし、給料を上げるべきである」等々が提言されている。
もちろん、早急に対策を打つべきであるが同時にもっと大切なことは、みんなが彼女たちを大切に思い、尊敬することであろう。

宮崎の彼女は酪農家の青年に嫁ぐという。
手紙は「人と動物の違いはあるけれど、同じ生き物が相手ですし、今からとても楽しみです。新たな気持ちで頑張ります」と結ばれていた。
(平成4年12月4日 産経新聞掲載記事)